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AI時代の次世代経営者を育成するには|優等生な「How人材」から脱却する突破人材の育て方

AI時代の次世代経営者を育成するには|優等生な「How人材」から脱却する突破人材の育て方

【人事・人材開発部門向け専門解説】株式会社Aoba-BBT 取締役副社長 / BBT経営塾 責任者 政元 竜彦

変化の激しいAI時代(第四の波)において、従来の「答えのある時代」に最適化された優秀さの定義が、今、劇的に変わりつつあります。多くの日本企業が「次世代リーダー育成」に巨額の投資をしているにもかかわらず、なぜ本質的な経営変革を起こせる人材が育たないのでしょうか。

本記事では、次世代経営者を育成するBBT経営塾で3,000人以上の卒塾生を輩出してきた筆者が、AI時代に淘汰される「ホワイトカラー(How人材)」のリスクを紐解き、これからの経営者に不可欠な「構想力」を持つ「突破人材」の具体的な育成アプローチを解説します。

1. AI時代(第四の波)に迫られる、次世代リーダーの「優秀さ」の再定義

アルビン・トフラーが提唱した「第三の波(情報社会)」を超え、現代はAI革命が牽引する「第四の波(サイバー社会)」へと突入しています。このパラダイムシフトにおいて、人事担当者が最も直視すべきは、「これまでの優秀なホワイトカラーほど、AIに淘汰されるリスクが高い」という現実です。

工業化社会の「優等生」は、AI時代の「お荷物」に?

日本の教育システムや企業の人材マネジメントは、長らく「工業化社会」の成功体験を引きずってきました。

  • 従来の優秀さ: 大量・均質、中央集権的なルールに従い、一糸乱れぬ高い効率性を発揮すること。
  • AI時代の現実: 知識を覚え、上司の言うことを正確に処理するだけの「優等生(How人材)」の仕事は、AIによって最も簡単に代替される。

実際、クラウドソーシング等のデータでも、数年前まで花形だったデータサイエンティストやプログラミング、事務サポート等の求人ニーズが減少傾向にあります。代わりに、AIに代替できない領域や、ゼロから価値を創出する力への注目が高まっています。人事が今育てるべき人材は、改善を重ねる優等生ではなく、「枠組み自体(What/Why)を自ら作り出せる人材」です。

2. 筆者のアセスメントから見えた、日本企業の経営人材が抱える「3つの致命的な課題」

Aoba-BBTの様々なプログラムや企業研修を通じて、数多くの次世代経営人材候補を直接アセスメントしてきた経験から,欧米のグローバル企業と比較して、日本企業の候補者には共通した「3つの思考の罠」が見られます。

① 鵜呑みにする(批判的思考の欠如)

経営陣や上司の言うことをそのまま信じ込み、「どう実現するか(How)」ばかりに走ります。「そもそもこの前提は正しいのか?」という常識を疑う姿勢(クリティカルシンキング)が著しく欠落しています。

② 視野狭窄(社内しか知らない)

自社のことや担当ビジネスには精通しているものの、一歩外に出ると世の中のトレンドや最新テクノロジーへのアンテナが極めて低い状態です。社内の人間関係の中だけで生きており、イノベーションの源泉となる「圧倒的な量のインプット」が不足しています。

③ Why(なぜ)とWhat(何を)が発想できない

現状の延長線上の数値目標(例:前年比5%アップ)は作れても、「自社は社会に対して何を成すべきか」というあるべき姿(What)や、その大義名分(Why)を自分の言葉で構築することが極めて苦手です。

「上司にとって都合の良いHow人材」を評価し、引き上げてきたこれまでの評価・配置のシステムこそが、次世代経営人材の枯渇を招いている最大の原因と言えます。

3. AI時代を生き抜く経営者に必要な「構想力」とは

AIには絶対に真似できない、人間にしかできない領域。それが「構想力(ゼロからイチを生み出す力、または本質的な変革を起こす力)」です。

経営における「構想」とは、単なるスローガンとしてのビジョンではありません。「5年後、10年後の社会や消費者のリアルな姿を頭の中に描き、その中で自社が果たすべき役割を定義すること」です。

具体的には、リアル(現物)の空間だけでなく、以下の「4つの経済空間」を自らの頭の中でつなぎ合わせ、独自のビジネスモデルを描き切る力が求められます。

経済空間構想力における具体的なアプローチ
① リアル目に見える現物、既存の現場、実際の店舗や商品。
② ボーダレス国境を越え、いかに世界規模(グローバル)のネットワークとつなげるか。
③ サイバーネット空間やAI、先端テクノロジーをどのようにビジネスに組み込むか。
④ マルチプル投資家から「将来の期待値(マルチプル)」を引き出すために、いかに魅力的な打ち手を提示するか。

Amazonのジェフ・ベゾスが創業初日に描いた「成長のループ(セレクションが増えれば顧客体験が向上し、トラフィックが増える…)」のメカニズムこそ、まさにこの構想力の典型例です。

4. 変革を起こす「突破人材(異能人材)」のキャリア共通点

大手通信グループや総合商社など、日本企業の中で「過去の延長線上にない圧倒的な成果」を上げた変革人材のキャリアステップを分析すると、彼らが会社組織の中でどのように育ってきたのか、共通する4つの特徴が浮かび上がります。

  • 入社当時からの「主体的・越境的な学びの習慣」
    仕事に関係があるかどうかにかかわらず、自ら本を読み、社外の勉強会や他流試合(MBAなど)に越境して、常に最新動向を取り込む習慣を持っています。
  • チャンスに対して「自ら手を挙げる」
    社内公募制度やビジネスプランコンテスト、手挙げ式の研修プログラムに積極的にエントリーしています。上司からの推薦による「優等生」よりも、「手挙げ式」で集まる尖った人材の方が、圧倒的に高いポテンシャルを秘めています。
  • 自分でテーマを選び、不退転の覚悟でコミットする
    人から与えられたテーマでは当事者意識が薄れます。成果を出す人材は、たとえ出世街道から外れるリスク(ジェネラリスト育成の定期異動の拒否など)があっても、「この社会課題を解決するまで異動しない」といった強い覚悟を持っています。
  • 組織の中に「理解者(スポンサー)」がいる
    尖った突破人材や異能人材は、協調性や社交性の指標が低く、既存の社内評価では「扱いづらい人間」として外されがちです。しかし、彼らが何度も失敗しながらも大きなビジネスを打ち立てられた背景には、その挑戦を評価し、裏で守り続けた「経営幹部(ゴッドファーザー)」の存在があります。

【突破人材の成長サイクル】
主体的な学び(インプット) ➔ 自ら手を挙げる(打席に立つ) ➔ 独自のテーマにコミット(覚悟) ➔ 理解ある上司(スポンサー)の庇護

5. 人事が実践すべき「次世代経営者育成」4つのアプローチ

AI時代に通用する次世代経営者を育てるために、人事は従来の「知識詰め込み型研修(MBAの座学など)」を捨て、「圧倒的なインプットとアウトプットを繰り返す、考える教育」へシフトする必要があります。

① 良質なインプットの強制(視野の拡大)

「テクノロジー」「グローバル」「起業家」を3大キーワードとし、自社・自業界の枠を強制的に超えさせます。外部環境の予兆を捉える癖を若いうちから植え付けることが、主体的な学習習慣の土台となります。

② 「答えのない現在進行形の課題」へのアウトプット

過去の成功事例(答えのある古いケーススタディ)を学ぶ教育は意味をなしません。 筆者がBBT大学院の講義でも指導している「RTOCS(Real Time Online Case Study:リアルタイム・オンライン・ケーススタディ)」のように、「もし自分が◯◯社の社長なら、今、どういう戦略を立てるか」という現在進行形の経営課題に対し、ファクトに基づき自ら意思決定を繰り返す「千本ノック」的な思考トレーニングが不可欠です。

③ 経営人材のポートフォリオ管理

全員を同じジェネラリストとして育てるのではないアプローチが必要です。 「本業を変革する人材」「新規事業を立ち上げる突破人材」「尖った開発人材」「グローバル人材」など、ポートフォリオで次世代リーダーを捉えます。特に「社交性は低いが、高いイノベーション資質を持つ異能人材」を排除しない評価・配置設計が必要です。

④ 「修羅場の打席」と「セーフティネット」の用意

社内公募やビジコンなどの場を用意するだけでなく、挑戦に付随する「失敗」を称賛する文化を作ります。本音の議論を戦わせる対立議論を許容し、失敗した突破人材を排除せずに支援する幹部陣(スポンサー)を人事が意図的に配置していくことが重要です。

6. まとめ:人事に求められるマインドセットの転換と、次なる具体的一歩

AI時代、次世代リーダー育成の成否は、研修プログラムの優劣だけで決まるものではありません。 

人事が「指示通りに動く優秀な優等生」の評価を脱却し、「自ら問いを立て、常識を疑い、枠組みを変える突破人材」をどれだけ受け入れ、育てる覚悟を持てるか。採用、育成、評価、配置のすべてを「 How人材からWhat/Why人材へ」とシフトさせる人的資本経営の実践こそが、これからの企業の国際競争力を決定づける鍵となります。 

もし、貴社でも「変化に強い自立型の次世代経営者を、真剣に輩出したい」と考えているのであれば、従来の枠組みを壊す圧倒的な修羅場の打席を今すぐ用意する必要があります。

大前研一をはじめとする超一流の講師陣が、世界で戦える経営脳を指導し、答えのない時代を切り拓く突破人材を磨き上げる『BBT経営塾』では、そのための実践的トレーニングと強力なネットワークを提供しています。経営リーダーの育成に本気で取り組む人事・経営幹部の方は、ぜひ本プログラムの詳細をご確認いただき、次世代リーダー育成の一歩を踏み出してください。

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株式会社Aoba-BBT「BBT経営塾」


■ 著者プロフィール

政元 竜彦(まさもと たつひこ)
株式会社Aoba-BBT 取締役副社長 / BBT経営塾 責任者

慶應義塾大学経済学部卒業。大手総合商社にて主にオセアニア地区の植林・木材加工事業に従事。約4年間にわたる海外駐在時には海外事業のマネジメントを経験した。株式会社Aoba-BBT入社後は、編成制作局長として全コンテンツの企画立案・制作に関与。ビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)教授として経営学研究科で教鞭を執り、大前経営塾やBBT経営塾の受講生に対するセミナー講師も務めるなど、数多くの企業の人材育成・次世代リーダーおよび起業家の事業構築を第一線で牽引している。