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優秀な管理職ほど陥る「3つの罠」とは?過去の成功体験から脱却し、変革型リーダーを育てる方法

優秀な管理職ほど陥る「3つの罠」とは?過去の成功体験から脱却し、変革型リーダーを育てる方法

【著者】株式会社Aoba-BBT 法人研修事業本部 Corporate Training Hub/Learning Hubリーダー 山本 伸一

ビジネス環境が激変するVUCAの時代、多くの企業が「次世代リーダーの育成」という大きな課題に直面しています。「自社の管理職は優秀なはずなのに、なぜか組織を思うように動かせない」「過去のやり方に固執してしまい、新しい変革を起こせない」と頭を悩ませている人事担当者や経営層の方も多いのではないでしょうか。

多くの企業において、管理職に昇進するのは「その組織における過去の成果の定義」に最適化され、下積みの頃からじっくりと成果を上げ続けてきた優秀な人材です。これ自体は極めて真っ当で説得力のある人事ですが、環境が180度変わってしまう現代においては、ここに大きなジレンマが生じます。

本記事では、組織開発やコーチングの実践・研究に携わる株式会社Aoba-BBTのリーダーシップ講師である山本伸一の知見をもとに、優秀なリーダーの足かせとなる「3つの罠」の正体を解説。リーダーの「OS(ものの考え方・価値観)」をアップデートし、未来を牽引する組織へと変革するための具体的なアプローチを紐解きます。

1.なぜ優秀なリーダーが組織を動かせないのか?原因は「OSの古さ」にある

結論から言えば、激変期における組織の停滞は、単なる管理職の「スキル不足」が原因ではありません。リーダー個人の「OS(オペレーションシステム)」が古くなっていることが根本的な原因です。

ここで言う「OS」とは、人間が根底に持っている価値観、前提条件、ものの考え方、あるいは判断軸のことを指します。

過去の勝ちパターンに最適化されすぎている優秀な人材ほど、ゲームのルールが変わった(あるいはゲームそのものが別物に変わった)瞬間に、これまでの優秀さが通用しなくなってしまうというパラドックスに陥りがちです。昨日までの「正解」が、今日からの「足かせ」になってしまうのです。

では、優秀なリーダーたちが現場で無意識に陥ってしまう「3つの罠」とは一体何なのでしょうか。心理学や認知科学などの学術的知見を交えて解説します。

2.優秀な管理職が陥る「3つの罠」と、それを打破する学術的アプローチ

【第一の罠】成功体験の呪縛と「サンクコストバイアス」

第1の罠は、過去に自分がうまくいったプレイスタイル(行動・思考パターン)に固執し続けてしまう現象です。

これには、人間がどうしても逃れられない思考の癖である「サンクコストバイアス(埋没費用効果)」が深く関係しています。

  • サンクコストバイアスとは: 過去に投下した金銭・時間・労力を「もったいない」と感じてしまうあまり、合理的な将来の利益よりも損失回避を優先し、無駄な投資や行動をズルズルと継続してしまう心理的傾向。

自分がこれまで血のにじむような努力をして積み上げてきた経験は非常に尊いものです。しかし、その努力への愛着が強すぎるあまり、環境が変わっても「これまでのやり方を手放したら、今までの苦労が無駄になる」という心理が働き、新しい変化に適応できなくなってしまいます。

打破するアプローチ:「深掘りの内省(リフレクション)」

この固定観念に自ら気づき、手放していくために有効なのが「内省(振り返り)」です。 普段、多くのビジネスパーソンは業務の振り返りを行う際、「何をしたか(What)」という表面的な事象に終始しがちです。しかし、過去の呪縛から脱却するためには、矢印を自分自身に向け、「なぜ自分はそう考えたのか?」「なぜその時、そういう行動を取ったのか?」という、行動の裏にある自分の思考パターン(OS)まで深掘りする内省が必要です。

【第二の罠】関係性の質を阻む「ファイティングポーズ」

第2の罠は、部下やメンバーとの間で価値を生む対話ができず、信頼関係を損ねてしまうコミュニケーションの罠です。

優秀な管理職ほど、役員会や経営層が出席する会議の場で「瞬時に論理的な正解を出すこと」「自分の考えを鋭く提示すること」を厳しく鍛えられています。しかし、その「いつでも戦えるファイティングポーズ」を取ったままの状態で部下と向き合うと、部下を正論で言い負かしてしまい、本音の対話や信頼関係が生まれなくなってしまいます。

打破するアプローチ:「議論の停止」と「二重過程理論(システム1・2)」の活用

心理学における「二重過程理論」では、人間の思考プロセスには2つのモード(システム)があるとされています。

  • システム1(直感・高速): 自動的かつ直感的に、パッと瞬時に反応するモード
  • システム2(論理・熟考): 意識的に、ゆっくりと論理的に考えるモード

鍛えられたリーダーは、部下の発言に対しても「システム1」の瞬発力で正論を返してしまいがちです。関係性の質を向上させるためには、まず「議論を一度停止(保留)する」こと。そして意識的に「システム2」を働かせ、自分の感情(EQ)をコントロールしながら「相手はなぜその発言をしたのか?」という背景をゆっくり熟考するスタンスが不可欠です。

【第三の罠】大義(ビジョン)を語れない「部分最適の壁」

第3の罠は、近年のトレンドであるパーパス経営や「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」を組織の末端まで浸透させられないという罠です。

企業の上層部がいくら素晴らしい大義やビジョンを掲げても、現場の管理職が「今月の売上」「目の前の成果」という部分最適だけに最適化されていると、組織の未来を部下に語ることができません。結果として、会社の掲げるビジョンが現場にとっての「借り物の言葉」になってしまい、メンバーの心に火をつける(動機づけする)ことができなくなります。

打破するアプローチ:「マイストーリー」としての言語化

リーダーがメンバーを惹きつけ、組織を動かすためには、単に会社のビジョンを右から左へ横流しにするだけでは不十分です。 「会社はこう言っている。そして私自身、これまでの苦労や経験(価値観の源泉)から、このビジョンの特にこの部分が本当に大切だと確信している」というように、自分の働く上で譲れない価値観と組織の方向性を重ね合わせ、「自分の言葉(マイストーリー)」として語れるようになることが、変革型リーダーへのステップとなります。

3.【人事の課題】スキル(やり方)ではなく、OS(あり方)をアップデートする仕組みづくりを

これからの時代に必要なリーダー育成は、従来の「マネジメントスキル(やり方)を教える研修」だけでは限界があります。

優秀な管理職が「過去の成功体験」や「無意識の思考の罠」に気づき、自らの意思でリーダーとしての軸やOS(あり方)をアップデートしていけるような、深い内省と実践を伴う仕組みを人事が提供していくことこそが、未来を導く変革型リーダーを育てる鍵となります。

自社のリーダーの「OS」をアップデートし、未来を牽引する組織へ

管理職が陥る「成功体験からの脱却」や、リーダーとしての「内省(リフレクション)」「EQ・感情知能のコントロール」「マイストーリーの言語化」を体系的に学び、現場での実践へと繋げるプログラムが、Aoba-BBTの「リーダーシップ・アクションプログラム」です。

主に課長から部長層を対象とし、学術的な知見と現場でのリアルな実践を組み合わせることで、激変するビジネス環境を生き抜く「変革型リーダー」へとマインドセットを劇的に転換させます。

自社の次世代リーダー育成、および管理職研修の抜本的な見直しをご検討中の方は、ぜひ以下のリンクより詳細なカリキュラムや導入事例を掲載した資料をダウンロードしてご確認ください。

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「リーダーシップ・アクションプログラム」公式ページ


■ 著者プロフィール

山本 伸一(やまもと しんいち)
株式会社Aoba-BBT 法人研修事業本部 Corporate Training Hub/Learning Hubリーダー

コーチング、リーダーシップ、マネジメント、組織開発に関する教育と実践支援を専門とし、現在、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科で企業の組織文化を研究。
理論と実践の両方を重視し、知識やスキルの習得だけでなく、職場での実行もスコープに入れた研修設計を行う。
東京大学大学院人文社会研究科修了。博士(文学)。
日本学術振興会特別研究員(DC2, PD, 海外)、ベングリオン大学研究員、東京理科大学講師、國學院大學講師、株式会社チームボックス取締役CCO(最高組織文化責任者)などを経て現職。